これは、読んだ人が得をする本。
日本で今おきているデフレと言われているものは、実はデフレではなくてディスカウントだと著者は指摘している。
「バブル」や「失われた10年」「デフレ」と言われるものの正体は、「人口の波」で説明がついてしまうという。
正直、私もインフレ誘導や、中国の経済発展に引きづられて人件費が落ちてきていると思っていたが、「実はそうではない、生産年齢人口が急速に減ってきている事がこの内需不振による不況の原因」だと著者は指摘している。
#しかも、あくまで内需が不審なだけで、輸出はスイスを除いて黒字になっていると指摘している。
いま団塊の世代の大量退職によって生産年齢人口が2005年から2015年の間に、800万人減る。(これは他の経済指標に比べて圧倒的に確実な数字)
これは今すぐ出生率が解決したとしても補い切ることはほぼ不可能な状態。
つまり、今後数十年の間、日本はこの生産年齢人口が減り続けることを想定した対策を取らないと有効な対策にならないと筆者は指摘し、さらにそのための処方せんも書いています。
悲観的、あるいは楽観的な上に具体的に何をすればいいか分からない経済論評よりも、役に立つ本だと思います。
もちろん「人口の波」だけで全部が説明できるほど単純ではないことは、筆者も十分理解した上での本書ですが、「人口」の推移が日本の独自性を解明できる指標で有ることは間違いないです。
これを見れば、この不況がどこまで続くのか、どこに影響がでるのか、どう言った対策を
予め打てるのかが見えてきます。
筆者は人口が減っていくのは必ずしも悲観的な事ばかりではない、
今後、渋滞や、人口過密など、マイナスな要因が減って住みやすい日本にしていく絶好の機会だとも述べています。
漠然とした不安を感じている人は、是非見てみてください。
自分がやるべきことが見えてくるかもしれません。
マル激トーク・オン・ディマンドでも藻谷さん本人による解説があるので、合わせてみると良いと思います。
マル激トーク・オン・ディマンド 第497回(2010年10月23日)
データで見る日本経済の本当の病状
ゲスト:藻谷浩介氏(日本政策投資銀行参事役)
ブログ「高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門」http://abc60w.blog16.fc2.com/
カテゴリ:藻谷浩介
もご参照いただければ、幸いです。よろしくお願いいたします。